液体金属を接点に用いたブラシレススリップリングを展開しているMercotac(マーコタック)。回転部と固定部の間で液体金属を介して電気を伝えるため、金属ブラシと金属リングの摺動接触を伴わない構造となっており、低い接触抵抗と安定した電気接続を提供します。
本記事では、Mercotacが提供するスリップリング製品の特徴や用途を紹介します。
Mercotacのスリップリングは、伝導路に液体金属を用いたブラシレス方式を採用しています。ブラシ・リング間の摺動接触が発生しないため、通常のブラシ式スリップリングで課題となるブラシ摩耗や摩耗粉(デブリ)の発生を抑えられる構造です。ブラシを使用しないため、ブラシの交換や摩耗に伴うメンテナンスを抑えられる点も特徴です。
Mercotacの製品では水銀を使用しているものがあります。日本国内で使用・保管・廃棄する場合は、「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」などの関連法令への対応について、事前に確認することをおすすめします。
接触抵抗はカタログ値で1mΩ未満と示されています。Mercotac公式の技術情報では、一般的なスリップリングの抵抗値を10~20mΩとして比較しており、Mercotacは低い接触抵抗を特徴としています。
液体金属が接点に分子結合しているため、回転中も抵抗値の変動が抑えられ、電気ノイズの少ない伝送が可能です。このため、電力伝送と、ひずみゲージ・熱電対・センサー信号などの微弱信号の伝送を1台のユニットで両立できます。
Mercotacでは、1・2・3・4導体に加えて、6導体以上の製品もラインナップされています。1導体では最大500Aに対応するモデルもあり、用途や必要な導体数に応じて製品を選択できます。標準品はカタログから型番を選定できるため、仕様が合えば個別設計を必要とせずに導入できます。
製品によって、アルマイト処理アルミニウムやステンレススチールなどのボディ材質、クロムスチールやステンレススチールなどのベアリング仕様が用意されています。また、Mercotac製品は米国で製造されています。
| 導体数 | 2導体 |
|---|---|
| 最大電圧 | 250V(AC/DC) |
| 最大電流 | 4A |
| 最大回転速度 | 2,000rpm(標準)/3,600rpm(205-H・205-HS)/1,200rpm(205-L) |
| 接触抵抗 | 1mΩ未満 |
| 回路絶縁 | 25MΩ以上 |
| 最大周波数 | 200MHz |
| 回転トルク | 75gf-cm(標準) |
| 動作温度 | 7℃~60℃(標準)/-29℃~60℃(205-L) |
| ボディ材質 | アルマイト処理アルミニウム |
| 主な用途 | 熱電対、ひずみゲージ、渦電流試験装置、風力タービンブレードセンサーなどの信号・電力接続 |
2導体の小型モデルで、信号伝送や小電力の電力供給に向く構成です。3,600rpm対応の高速仕様(205-H・HS)や、-29℃対応の低温仕様(205-L)が用意されています。
Mercotacは液体金属接点を用いたブラシレススリップリングを、複数の導体数で標準品としてラインナップしているメーカーです。接触抵抗1mΩ未満という低抵抗特性に加え、ブラシを使用しない構造によってブラシ摩耗が発生しない点が特徴です。熱電対・ひずみゲージなどの信号系や、電力と信号を同時に伝送する用途などに利用されています。
また、Model 205のような小型モデルから、最大500Aに対応する1導体モデルまで、用途に応じた製品が用意されています。必要な導体数、電流、回転速度、使用温度などの条件を確認したうえで、適したモデルを選定することが重要です。
仕様だけでなく依頼条件まで満たすスリップリングメーカーを選ぶには、各メーカーの得意分野を知ることが合理的なアプローチです。このメディアでは、設計者が条件に合う依頼先を見極められるよう、各社の強みを整理して紹介しています。
Mercotac, Inc.は米国カリフォルニア州カールスバッドを拠点とするブラシレススリップリングメーカーです。液体金属を接点に用いたロータリーエレクトリカルコネクタを展開しており、風力発電、溶接、ロボット、医療研究、半導体機器、ケーブルリール、クレーン、電気めっき、加熱ローラ、映像検査システムなど、さまざまな用途に対応しています。
| 会社名 | Mercotac, Inc. |
|---|---|
| 本社所在地 | 6195 Corte del Cedro, Carlsbad, CA 92011, USA |
| 電話番号 | +1-760-431-7723 |
| 営業時間 | 要問い合わせ |
| URL | https://www.mercotac.com/ |
スリップリングの選定では、組み込む装置の種類や用途によって特有の要件があります。
ここでは、現場で特に求められる条件に対して強みを持つ3つのメーカーを紹介します。

フルカスタムでしか実現が難しかった、内径φ50mmクラスの中空軸に、大電流(各極数十A級)と1,000Mbpsの高速通信の混載要件にセミカスタムで対応。
短納期かつ低コストで、性能を実現できる。
「中空型」「軸端型」など既存のセミカスタム品ベースの設計でゼロからの専用設計が不要。
ノイズ対策や寸法調整といった要件を反映でき、試作1台からの小ロット発注にも国内一貫生産体制でスピーディに対応。

外径φ22〜30mmクラスに適合し、0.3Aの通信用回路を最大18極まで選べる小型シリーズを標準品でラインナップ。
CC-Link規格準拠のモデルもあり、規格ケーブルでのダイレクト接続が可能。
余分な慣性や抵抗を抑え回転機構に組み込んでも測定誤差が生じにくい軽量・低トルク設計。
質量26g・起動トルク0.005N·mのモデルなどがあり、回転ステージや治具でも精度を維持できる。

CTなどの大型医療装置のフレームを貫通できる内径1,397mmに対応。
限られた設計空間にも組み込めるため、既存の筐体寸法の制約内でも回転部の構成が可能。
最大1,000V・300Aの電力と、合計80Gb/s超えの画像データを、1台で同時伝送。
CTスキャナのX線管や冷却系を支えながら、装置内部の配線を簡素化できる。