スリップリングを使用するメリットや種類、主だった用途などについてまとめています。適切な製品を選ぶには、スリップリングに関する基礎知識が不可欠。正しい知識で自社に適したスリップリングを選びましょう。
回転している部品と動かない部品の間で電気や信号をやり取りするための装置が「スリップリング」。
風力発電機や産業用ロボットなど、回転運動をともなう部分を持つ機械には欠かせない存在です。
たとえば、産業機器を開発・設計する立場では、スリップリングの導入によって配線のねじれという課題が解消します。機械の寿命を延ばしたり、保守作業の頻度を減らしたりといったことも実現可能。
信号や電力を安定的に送れるため、機械の制御が正確になり、生産効率や品質の向上にもつながります。
スリップリングには用途や設置環境に合わせたいくつかの種類があります。
たとえば、真ん中が空いており配管やシャフトを通せるのが中空一体型。軸端取り付け型は省スペースで装置の端に設置可能なスリップリングです。高さが抑えられた薄型は、省スペース装置に適しています。
水銀フリースリップリングのような環境に配慮したものや、危険区域での使用に対応した防爆仕様のスリップリングもあります。
小型・海洋向け・非接触式・大電流対応など、特殊な条件の設計にもメーカーによっては対応可能です。
接触式のスリップリングは大きく分けて「回転するリング」と「固定されたブラシ」という二つの部分から成り立っています。
リングが回転してもブラシが常に触れているため、電気の流れは途切れません。
仕組みとしてはシンプルですが、材質や形状の工夫によって長時間の安定稼働を実現できます。
風力発電機やクレーン、包装機械、医療用CTスキャナー、レーダー装置など、回転運動し続ける部分において電気や信号をやり取りする必要がある装置に幅広く使われます。装置の動作安定性や精度を確保するために欠かせない部品です。
用途に応じたさまざまなタイプのスリップリングがあります。標準品では要件を満たせない場合には、メーカーに相談してセミカスタム品やフルカスタム品を特注することも可能です。
スリップリングの寿命は使い方や環境条件によって大きく変わります。
回転速度をメーカーの仕様を超えて引き上げてしまったり、湿気や粉塵が多い場所などで使用したりするのは摩耗を早める要因です。
定期的な点検とメンテナンス、必要に応じた部品交換を行えば、長期間にわたって性能を維持できます。
スリップリングを長く使うには、定期的な清掃や検査が欠かせません。特にブラシや接触部の消耗は性能に直結します。たとえば異音や発熱が見られたら早めの交換や点検対応が必要です。
ただし、メンテナンスには方法や実行の順番にいくつかの注意点があります。正しい方法を知って、スリップリングを長く有効に使いましょう。
スリップリングの価格は、グレードによって異なります。実験・軽負荷向けの簡易型(1万円未満)、工場の自動化ライン向けの堅牢な標準型(1~5万円)、医療機器等で使う高機能型(5万円以上)などに分けられます。
価格は接点の材料や通信対応などの仕様で変動するため、選定時は故障リスクとコストのバランスを考慮しましょう。重要設備には高価格帯を、実験用には安価な製品をと、用途に適したグレードを見極めることが重要です。
産業機械の回転部において、ケーブルのねじれや断線を低減し、無限回転での電源・信号伝送を実現する「スリップリング」。金属リングとブラシの接触により、動力電源から映像・デジタルデータまで伝送できます。
産業用ロボットやCTスキャナ、監視カメラなどさ、様々な分野で欠かせない存在であり、中空型やカプセル型など設置条件に合わせた選定が可能です。回転機構の設計自由度を高め、装置の信頼性向上に貢献します。
スリップリングの構造・種類・用途といった基礎知識を理解しておくことで、自社装置に適した製品を選びやすくなります。また、寿命やメンテナンスの知識は、部品交換や点検タイミングを見極める上でも役立ちます。
メーカーや製品ごとの特性を把握し、計画的に運用することで、装置の信頼性や効率を高めましょう。
スリップリングの選定では、組み込む装置の種類や用途によって特有の要件があります。
ここでは、現場で特に求められる条件に対して強みを持つ3つのメーカーを紹介します。

フルカスタムでしか実現が難しかった、内径φ50mmクラスの中空軸に、大電流(各極数十A級)と1,000Mbpsの高速通信の混載要件にセミカスタムで対応。
短納期かつ低コストで、性能を実現できる。
「中空型」「軸端型」など既存のセミカスタム品ベースの設計でゼロからの専用設計が不要。
ノイズ対策や寸法調整といった要件を反映でき、試作1台からの小ロット発注にも国内一貫生産体制でスピーディに対応。

外径φ22〜30mmクラスに適合し、0.3Aの通信用回路を最大18極まで選べる小型シリーズを標準品でラインナップ。
CC-Link規格準拠のモデルもあり、規格ケーブルでのダイレクト接続が可能。
余分な慣性や抵抗を抑え回転機構に組み込んでも測定誤差が生じにくい軽量・低トルク設計。
質量26g・起動トルク0.005N·mのモデルなどがあり、回転ステージや治具でも精度を維持できる。

CTなどの大型医療装置のフレームを貫通できる内径1,397mmに対応。
限られた設計空間にも組み込めるため、既存の筐体寸法の制約内でも回転部の構成が可能。
最大1,000V・300Aの電力と、合計80Gb/s超えの画像データを、1台で同時伝送。
CTスキャナのX線管や冷却系を支えながら、装置内部の配線を簡素化できる。